負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

2020-01-01から1年間の記事一覧

負け犬の土曜の夜はゴキゲン「荒野の七人」

ガンマンも年を取って老いるということをこの作品で初めて知った (評価 68点) まだまだ負け犬が、ほんの子供の頃、土曜の夜が楽しくて仕方なかった。だって「仮面ライダー」の放送日。それに午後9時からは土曜映画劇場があったから。忘れもしない、「荒…

負け犬は口笛を吹く「荒野の用心棒」

ヒロイズム、クールといった言葉はこの映画から学んだ気がする (評価 90点) 子供の頃、レコードにはシングルとLPがあった。シングルは表と裏に一曲ずつ、LPが今でいうアルバムだ。そのLP盤のレコードで初めて買ったのが数々のウェスタン、それもマ…

野良犬の口は減らず「少年と犬」

この年になって、未見の旧作、それもカルトなジャンルの傑作に出会える喜びに勝るものはない (評価 80点) この作品を見たのはつい最近。しかし、その存在自体は40年近くも前から知っていた。当時、愛読していたスターログ誌(懐かしいなあ・・)に日本…

負け犬のロケットパック「007サンダーボール作戦」

空を飛び、海を潜る八面六臂の合間にちゃっかりお姉ちゃんとしけこむやんちゃぶりはご健在 (評価 68点) 冒頭のしめやかな葬式。悲しみに暮れる初老の参列者の女性。ところがボンド何を思ったか、この女性にパンチをくらわし吹っ飛ばす。カツラも一緒に吹…

負け犬の秘密兵器の登場「007ゴールドフィンガー」

負け犬が見る夢は金髪美女ならぬ金粉美女だった (評価 62点) オープニング。 鴨(カモ)・・?いやカモメを頭につけて偽装したボンドが海からヌっと現れる。とりあえずそのカモメが付いたマスクは脱ぎ捨て、ダイビングスーツのまま敵のプラントに忍び込…

負け犬はパロディでよみがえる「007私を愛したスパイ」

人間ドン底でも自分を笑い飛ばせば何とかなるのかも (評価 76点) 今さらながらの勝手に007シリーズ。こないだ「007二度死ぬ」を数十年ぶりに見たらそのオモチャ箱を引っくり返したような世界観に慧眼するところがあったので、昔見て、一番ましだったおぼ…

負け犬に愛の手を「007ロシアより愛をこめて」

すっかりナメていたけど見直した、イヤ、ほんとは凄かったんだ (評価 76点) 007のオリジンを目撃したら、すっかり勢いづいてシリーズ全作制覇の野望の火を絶やさんとベストワンの評価も高い「007ロシアより愛をこめて」を今更ながら見ちゃったヨ!という…

負け犬のオリジン「007ドクターノオ」

負け犬の始まりは穴・・だった (評価 64点) いきなり見たくなって、「007は二度死ぬ」を数十年ぶりに見たら、特典にあの有名なタイトルバックにまつわるドキュメンタリーがあった。 あの余りにも有名な冒頭のタイトルバック。銃口の見た目のショット。ガ…

負け犬のジャパンはフジヤマ「007は二度死ぬ」

ニギニギしいおせち料理の味もたまには楽しめる (評価 68点) 今更ながらの「007は二度死ぬ」を無性に見たくなった。勿論、子供の頃に見ているが。それというのも最近、サミュエル・フラーの「東京暗黒街・竹の家」を見たからだ。初めて見る、この映画に…

負け犬のステイホーム「パージ」

ご近所トラブルもいよいよ高じると殺し合いになっちゃうよね (評価 70点) フィクションというものは、つくづくムズかしい。そのまま書けばノンフィクションのただのドキュメント、少なくともフィクショナルな面白さは全くない。自分的には、フィクション…

負け犬の血も凍る「冷血」

この圧倒的な釘付け感は実録映画ジャンルの金字塔かもしれない (評価 85点) もう二十年も前、東京世田谷区のある一軒の住宅で小さな子供を含む一家全員が殺される事件が起きた。そう、あの日本の犯罪史上でも有名な『世田谷一家殺害事件』である。この事…

負け犬が剥く牙をナメてはいけない「わらの犬」

古今東西の負け犬逆襲映画大賞なんてものがあったとしたら、大賞に輝くのはまさにこの映画に違いない (評価 82点) イングランドの田舎町に一組の夫婦がやってくる。村人の一団の執拗ないやがらせに、初めは平和主義を固辞していた数学者の夫デイヴィッド…

負け犬はオオカミにはなれない「狼たちの午後」

社会の負け犬たちが剥く牙はあまりにもおろかで悲しいものなのです (評価 88点) この映画を初めて見たのは、高島忠夫解説当時のゴールデン洋画劇場。しかし、その初回放送が、同時期発生した梅川による三菱銀行籠城事件の影響を憂慮し、急遽中止となった…

負け犬に敗者復活戦はあるのか「候補者ビル・マッケイ」

選挙とは候補者の販売戦略を競い合うゲームだ (評価 80点) 1972年の作品の本作。しかし、今でも政治、それも選挙というトピックを扱った作品としていささかも古びたところなど微塵もなく本国でも未だにベスト1にランクされる快作だ。 トランプvs…

負け犬はひとりぼっち「大いなる勇者」

ヒッチハイクしてアラスカまでの旅を続けるその青年の風貌はまるでジェレマイア・ジョンソンのようだった (評価 78点) 1992年4月、アラスカの山中で一人の青年の死体が発見される。死因は飢え死にだった。その青年は、ワシントン郊外の裕福な家庭で…

負け犬はカルメンを踊る「がんばれベアーズ」

名前はリトルでも感動はメジャーに負けない (評価 85点) あの頃に見たもので、ふと脳裏に浮かんでしまう映画というのはあるもので、とにかく自分の場合、何はともあれその原点は『ロードショー』。その雑誌を毎月発売日には必ず買って読みふけっていた頃…

負け犬的B級映画の金字塔「要塞警察」

B級映画の帝王ジョン・カーペンターが最もその輝きを放った超傑作 (評価 85点) 『籠城』、B級映画を偏愛する人間ならその言葉に食指をそそられない人間は。いないのではなかろうか、尚且つ、そのタイトルが漢字四文字だけの簡潔な”要塞警察”というタイ…

負け犬はアイデア倒れ「ニューヨーク1997」

テメエの身の程をわきまえろ!とカーペンターは怒り狂った (評価 72点) 「要塞警察」というB級映画の金字塔的傑作を放ち、批評家、映画野郎から俄然、注目を浴びたジョン・カーペンターが、低予算で高収益が狙えるホラーというジャンルにベクトルを振る…

一匹狼は野良犬なのか「ダーティハリー」

一匹狼はピストルを追いかける野良犬だった (評価 82点) この作品を初めて見たのは淀川長治解説の日曜洋画劇場。以来、数十年、数えきれないくらい見ている。それなのに、まだ見足りない。しばらく『ダーティハリー断ち』をしていると、ウズウズしてきて…

負け犬がおとぎの国で切る仁義「ザ・ヤクザ」

小指を詰めるって爪を切るぐらいの痛さしかないんだってことを、この映画で初めて知った (評価 76点) 最初に見た時はズッコケたのに、後になって好きでたまらなくなる映画というのはあるもので、負け犬的には、そんな映画がまさにこれ。 1974年、ま…

負け犬の髪はなびくか「コン・エアー」

黒ゴマが髪の毛にはいいらしい (評価 74点) というわけでコン・エアー。勿論、過去に見た作品だ。しかし、近頃ニコラス・ケイジが何だかやけっぱちらしいという風のうわさを耳にしてまた十数年ぶりに急に見たくなった。 正当防衛で犯した殺人罪により服…

負け犬はタクシーがお好き「コラテラル」

相手によっては乗車拒否したい時もありますよね (評価 55点) そもそも期待をするなという方が無理というもの。監督が、漢映画が好きな奴なら嫌いなわけがないマイケル・マン。主演の殺し屋がトム・クルーズ、巻き込まれるタクの運ちゃんがジェイミー・フ…

負け犬は負けず嫌い、ナウシカとの微妙な関係「グロリア」

いったい、マフィアの姉さんとあの「風の谷のナウシカ」に共通点があっただなんて誰が想像出来るだろう (評価 80点) いやぁ~!あのグロリアのオープニング、素晴らしかった。今度、オレが作るアニメにパクッてやろう・・というガラの悪い口調ではないけ…

負け犬のキャンドルライト「ダイハード2」

負け犬が歌う「きよしこの夜~♪」もズンドコ節~の氷川きよしにも負けてはいないぜ(わけわかんね) (評価 78点) 大ヒット作の続編がヘッポコというのは定説だった。あくまでだった・・という過去形なのも、いつしかそのセオリーが変わり始めたからだ。…

負け犬の聖なる夜は「ダイ・ハード」

聖なる夜のクリスマス、むせび泣くのは負け犬ならぬ原作者 (評価 89点) クリスマスという異国のイベントが近付くと思い出すことがある。クリスマス・ケーキにそれを囲んでのアットホームなパーティだ・・な~んて負け犬に限ってンなわきゃない!ハロウィ…

負け犬はタンスを運ぶ「水の中のナイフ」

才能の切っ先を肌で感じる陶酔感がたまらない (評価 82点) それがどんなジャンルであれ、優れた才能は鋭く尖っている。芸術に触れる喜びの最上位に、そんな鋭く尖った才気に直に触れる喜びがある。そんな才能と出会った時、皮膚感覚で痛感させてくれる芸…

負け犬のいびつな愛情「恐怖の報酬」

キレイなものではなく、いびつなものにこそ愛情を抱く・・なんてことありませんか? (評価 60点) 「試写会の会場は、トラックが吊り橋を渡るシーンで、針の落ちる音すら聞こえるほど静まり返っていた」 当時のロードショー誌のこの映画の紹介には、あの…

負け犬は瓜二つ「ルームメイト」

独身(S)、白人(W)、女性(F)って『同居人求む』のことだったんだ (評価 78点) 昔見て、心に澱のように残る映画というのがあるもので・・それがまさにこの映画だった。堅実な演出でサスペンスを積み上げる巧みな構成(監督は「バーフライ」のバー…

箱詰めの負け犬「フォーンブース」

箱入り娘ならぬ箱入り男はクズだった (評価 78点) その昔、映画のスクリプトがアップされているサイトを物色しては面白そうなものをダウンロードしては色々と読んでいた。そこには公開前の「キル・ビル」のオリジナルスクリプトもUPされていた。(まる…

負け犬は聞き耳を立てる「カンバーセション盗聴」

そのパラノイアはたった一つの音から始まった (評価 80点) 人間にはもっとも生気と活力に満ちた時期がある。コッポラにとってこの映画の製作時がまさにそのバイオリズムだったに違いない。ゴッドファーザーで大成功を収め、スタジオから何の干渉もされな…