負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。そして、木枯し紋次郎を完全コミック化(笑)した「劇画!木枯し紋次郎」を日々、配信中!色々な動物が繰り広げる動物コミックもあわせてお楽しみください

負け犬に愛の手を「007ロシアより愛をこめて」

すっかりナメていたけど見直した、イヤ、ほんとは凄かったんだ

(評価 76点)

 

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007のオリジンを目撃したら、すっかり勢いづいてシリーズ全作制覇の野望の火を絶やさんとベストワンの評価も高い「007ロシアより愛をこめて」を今更ながら見ちゃったヨ!というわけで「007ドクター・ノオ」のちょっと年を食った映画への思いやりのねぎらいの評価とは次元が違う、そのエンタメとしてのハイクォリティーを存分に堪能出来、お腹いっぱい楽しませてくれました、というのが正直な感想です。

 実際、一作目とここまで違うものか、といったところ。まるで別物の映画といっても良い位。本作は例によって子供の頃、テレビで見ています。(これもまた確か月曜ロードショーだった、やけに月曜ロードショーが多いな(笑))その時は、多少面白いといった程度、興奮ものとまではいかなかったような・・

 今回、すっかり年を取ったからなのか、良くいえば目が肥えたからなのか、とにかく演出二作目となるテレンス・ヤングの演出の手際の洗練ぶりが当時とは格段に鮮烈で、全編にわたりその印象が脳裏に深く刻み付けられた結果となりました。

 本作で今でも憶えているのが、かつて「ヒポクラテスたち」などの映画を撮っていた大森一樹監督がティーン向けの映画雑誌『ロードショー』(恥ずかしいけど当時、愛読していたのです)誌にこの映画に対する熱烈な偏愛ぶり満々の記事を寄稿していたこと。確か、各界の人たちに聞く我が人生の一本みたいなコーナーだったような気がする。

 記事の中では、自分が映画監督を志したのは、こんなエンタメが撮りたかったからに他ならないんだと書かれていた。大森氏は、微に入り細に入り語り尽くしたいような勢いだったが、かいつまんで冒頭、ボンドが殺されるシーンでまず驚かされ、敵地に潜入してのサボタージュに敵味方入り乱れての戦闘シーン(その前にはイカすお姉ちゃんたちのキャット・ファイトのサービスまである徹底ぶり)、そして有名なオリエント急行でのサスペンス、さらには草原でヘリに追い回され、くたばれ!とばかりにポータブルな組立式のライフル銃で撃破するアクション、最後にボートチェイスの末の大爆破のスペクタクル。これで終わりかと思いきや、とどめはスペクターのオバサさんスパイとの激闘にいたるまで、息つく間もない、これぞ至れり尽くせりのテンコ盛りだぜ!と大絶賛だった。その見解に何の異論も有りません。まさに娯楽映画の極地、エンタメの見本のような映画だと思う。

 だが、しかし、昨今のテンポの度合いがハイパー過ぎる(キャメラをやたらと揺らしまくる)せわしないアクション映画を見慣れた向きには多少、のんびりしているのは否めない。でも、年を取り加齢臭も匂い立ってくると、このゆったり感の方がしっくりくる。

 一杯たしなみながらイスタンブールの風光明媚な名所の数々に舌鼓を打ち、ボンドガールのダニエラ・ビアンキのクールなエロビューティぶりにまた舌なめずりする(結局、お姉ちゃんに落ち着く)。しかし、今作でつくづく思うのは、インディジョーンズにつくづく似ているよな、ということ(いや、勿論、あっちがパクっているわけですけど)。特にイスタンブールが舞台というのもあいまって、ヴェネツィアが前半の舞台となったインディ第三作の「最後の聖戦」が、いかにこの映画を意識しオマージュを捧げていたかが良く分かる(どちらもショーン・コネリーが出演しているので因縁的必然かもしれないが)。

 因縁といえば、劇中ではトルコの諜報員を演じた俳優の病魔による悲劇なども特典で明かされ、撮影のスケジュールの過酷ぶりたるや相当ヘビーだったようだ。しかし、メイキングでは誰もが口を揃えて絶賛するテレンス・ヤングのリーダー的資質の甲斐もあって、また本シリーズに欠かせない編集者ピーター・ハントの辣腕ぶり(フィルムの逆回しを巧妙に使ってワンシーン作っていたのはビックリした)もあって完成に何とかこぎつけエンタメ映画史にその名を刻めたとのこと。

 とかく人間、軽くあしらってナメてたら、お宝を見逃す損をすることを思い知らされた一作。ますます火照る血の高まりに乗じ、アクション度ならぬエロ度がハイパーな金粉美女が出てくる「ゴールドフィンガー」にチャレンジすべく意気込む今日この頃なのです