負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬のキャンドルライト「ダイハード2」

負け犬が歌う「きよしこの夜~♪」もズンドコ節~の氷川きよしにも負けてはいないぜ(わけわかんね)

(評価 78点) 

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大ヒット作の続編がヘッポコというのは定説だった。あくまでだった・・という過去形なのも、いつしかそのセオリーが変わり始めたからだ。運が良ければ007のジェームズ・ボンドのように第二作でそのキャラクターのポピュラリティーに一気に火が付きシリーズ化という幸運にありつくことにもなる。このダイハードもこの二作目でそのラッキーにありついたといってもいいのではなかろうか。

 1作目では、原作者ロデリック・ソープの逸話をご紹介したけれど、この2作目もまずタイトな原作のチョイスが吉と出た。その原作がウォルター・ウェイジャーによる「58Minutes」。1作目同様、本そのものの知名度にはこだわらず、内容性、ストーリ性、アイデア重視の選択だったはず。この原作の舞台のケネディ空港を、再びシーズンをクリスマスの設定にし、ダレス空港に置き換えたのが本作だった。

 前作公開当時、興行成績は期待を大きく下回ったが、1作目の知名度は公開後に浸透したこともあって、本作の日本における興行収入はなんと前作の3倍!これによって二作目が二番煎じのお茶濁しのセオリーが見事に粉砕されたといっていいだろう。

 本作公開当時のレビューは総評としてこうだった-アクションとともに展開された伏線が最後の最後に収斂する、その様は圧巻だ。確か本作を見たのは当時の梅田ナビオの映画館、前作のさびしい館内とはうって変わって、見た時は満員御礼の館内で、レビューに一切の嘘いつわりもない出来栄えに、ラスト胸を熱くしたのを昨日のことのように覚えている。

 ところが、このシリーズ1,3は繰り返し見続けているのに、何故かこの2は公開時、見たきりで長年見ていなかった。この師走、冷たくなった北風に首をすくめてフト思い出し、この死ななない奴の第二弾をン十年ぶりに見てみた次第。

 イヤア~!伏線一挙回収のフィナーレは健在、あの名ゼリフ「Fucking、Landing Light!(やったぜ!誘導灯だ)」で、見事に泣かせてくれました。

 公開当時も爆笑したけど、あの脱出シートで天高く舞い上がるシリーズ中もっとも笑える傑作シーンの破壊力も健在、文句なしでした。一作目がタテ構造の限定空間。本作は一転し、全方位型の空港というオープンな設定を存分に生かし、陸と空とのサスペンス。そこでマクレーンとホリーを巧みにカラマせ、最後の抱擁に持ってくる構成は見事の一語。悪役の面子からいえば、間違いなく本作がベストでしょう。

 特にというか、やっぱりというべきか、麻薬王エスペランザ将軍に扮したフランコ・ネロは貫禄ものでした。

 ここまで満点、満腹ご馳走様の本作で唯一、解せないことがある、どうして1,3作目は何度も見ているのに、これだけは1回見たきりで今まで見てこなかったのだろう・・。一期一会という言葉があるけれど、映画との付き合いも、不思議とそんなことがあるもので。

 いずれにせよ久しぶりの再会で、その面白さを再認識した本作、聖なる夜はやっぱり「ダイハード2」で楽しみたい!