負け犬が見る夢は金髪美女ならぬ金粉美女だった
(評価 62点)
オープニング。 鴨(カモ)・・?いやカモメを頭につけて偽装したボンドが海からヌっと現れる。とりあえずそのカモメが付いたマスクは脱ぎ捨て、ダイビングスーツのまま敵のプラントに忍び込み爆薬を仕掛けた後、サッ!とダイビングスーツを脱ぎ去ると、下に来ているのは真っ白なタキシード。ボンドが酒場に入りしばらくすると思惑通りプラントが大爆発。次いでボンドは表情一つ変えず、ちゃっかり酒場のお姉ちゃんとしけこみ、実はそのお姉ちゃんが敵のスパイ、女が手引きし、待ち構えていた男を女スパイもろともブン殴りノックアウト。ボンドが悠然と立ち去った後に繰り出されるのが、あのシャーリー・バッシーが歌う「ゴールドフィンガー」のテーマ曲。
というわけで何故か「007は二度死ぬ」から唐突に始まった負け犬的なボンド祭りの第5弾。この作品も例に漏れず、一応、大昔には見ているが、このイントロは全く覚えていなかった。何だかんだといって、結局、この作品でおぼろげに覚えているのは、やっぱりというべきか一番のインパクト全身金粉美女(そもそも子供の頃に見た時は、何で金粉塗っただけで死んじゃうのかよく分かんなかった・・でも、今回その謎が解けた。皮膚呼吸出来なくなって死んじゃったとボンドが言ってた。でも、ホントにそんな効果有るのかな?ジェームズ・ボンドならぬ木工用ボンド全身に塗ったら分からなくもないけど)とゴールドフィンガーに捕まったボンドの股ぐらにレーザービームが迫ってくるところぐらい。
それだからか、改めて見ても前作「ロシアより愛をこめて」と続けてみたせいか、第3作で一気にスケールアップした分だけ平板になった感は否めない。
導入部のマイアミで、今回の仇敵ゴールドフィンガーのイカサマポーカーを逆利用し、挑戦状をたたきつけたボンドに、ゴールドフィンガーは不敵にもイカサマのアシストをしていた女を金粉付けにして宣戦布告する。確かにこのシーンはかつても、そして今なおインパクト抜群。ここで初めてボンド名物の一つでもある悪の親玉のサイドキックとなる悪役オッドジョブが登場する。
この東洋人の悪役オッドジョブのハロルド坂田さん。特典でも紹介されていましたが、やはりその見てくれの通りプロ・レスラーだったそうで、その見事な体躯で活躍されていたようです。この人のイメージだけは子供の頃に見た時も実に強烈だった。ツバの部分が鋼鉄か何かで出来ているクソ危ないシルクハットをかぶってヒュンっと投げたら、その帽子が命中した相手の首がすっ飛ぶというシーン。これが最後のボンドとの一騎打ちで実は逆に命取りになっちゃうシーンは克明に記憶に残っていた。
今回、見てオッと思ったのは、ボンドの代名詞といっていいガジェット満載のスーパー・カーのあのアストン・マーチンが出てきたこと。この作品が最初だったこともすっかり忘れていた。しかして、そのアストン・マーチンの本作における必殺技がカタパルトで天高く射出する助手席なのだが、これには笑った。一体、これはどういうシチュエーションを想定しての仕掛けなのか?まあ、見ていてつくづく思いました。今回の悪役の手下ども、何故か皆、東洋人なのだけど、その一人がボンドが運転するアストン・マーチンに乗り込んでボンドに銃を突きつけ運転させる、そこでボンドは待ってましたとばかりに、イジェクトボタンを押すとアレ~!とそいつが叫び声を上げて飛んでいく。どう考えてもレアなほぼ有り得ないシチュエーションのために、こんな大層な仕掛けわざわざ作るのかな。そもそもイジェクトシートって、飛行機がそうだが、危ない時に運転手自身が脱出するためのものだと思うけど。
何はともあれこのゴールドフィンガー。グランド・スラムなる壮大な計画を企てており、それを知ったボンドは一旦、捕まるのですが、そこで出会うのがプッシー空中サーカス団の団長プッシー・ガロア(オナー・ブラックマン)という冗談みたいな名前のボンド・ガールなのだ。
このプッシー、体格は小柄だけど物凄い巨乳で腰がキュっと引き締まったアニメの峰不二子そのもののお姉ちゃん。その昔、映画雑誌に歴代のボンドガールたちの品定めといった企画のグラビアが載っていたが、一番そそられたのがこのオナー・ブラックマンだった。オナーさんは撮影当時、何と37歳、歴代のボンドガールの中でも一二を争う高齢。
元々、ゴールドフィンガーの手先だったプッシーちゃん。厩舎でボンドと取っ組み合いの末に、ボンドに手籠めにされてボンドに寝返るのだが、キスを迫られイヤイヤな顔をする時の目尻の皺にグッとそそられた。ひょっとしてそれが今の熟女好みの原体験かも・・・
それはともかく、実は全米の金塊を所蔵するフォート・ノックス襲撃がグランド・スラム計画であることを暴いたボンドがプッシーちゃんの協力を得て、反撃し、オッドジョブとの一騎打ちも制し、核爆発も(残りのカウンター表示007秒で)寸前で食い止める。
めでたしめでたしで搭乗した帰還の飛行機に最後に復讐とばかりに現れたゴールドフィンガーも発射したピストルの弾で割れた小窓にスッポンと吸い込まれ、ボンドはプッシーちゃんと共に墜落寸前で脱出。エンディングでパラシュートに包まれパターン通りにプッシーちゃんとしけこむボンドがこの上もなくうらやましかった。
ということで駆け足でめまぐるしい本作だが、正直、広げ過ぎたパラシュートならぬ風呂敷のおかげで前作よりは劣る、しかし、これ、当時全世界でムチャクチャにヒットし、これ一本で007フランチャイズを確立させたスゴミはまあ味わえる。
プッシーちゃんの由美かおるのような(古いなあ~)トランジスタグラマーな肢体と共に是非、どうぞ