負け犬的映画偏愛録

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負け犬の下級スパイは本の虫「コンドル」

あのCIAに世界中のフィクションを調査、研究している部署があることをこの映画で初めて知った。本当かな?

(評価 84点)

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かつて実在したハッカーたちのノンフィクションのドキュメント本を読んだことがあった。すると面白いくだりに出くわした。ハッカーたちには皆共通して好きな映画があって、それがこの映画「コンドル」だったのだ。

ハッカーたちというのがどんな人種でどんなことをしているか未だによく分からないところがある。しかし、どうやら、結局はアナログちっくにセコくパスワードを盗んだりしているらしいことが、その本には書かれていた。

1975年製作の本作でも、CIAの下級職員役のロバート・レッドフォードがやっていることといえば、ホテルの電話交換室に忍び込み、巧妙に回線にジャックインして盗み聞きしたり、実にアナログチックなことをしている。

この映画では冒頭、コンドルのコード名を持つレッドフォードの勤務する支局が何者かに襲撃され、仲間が皆殺しにされる。上司にそのことを連絡するが、追手は執拗に追ってくる。ところが逃げるうち、襲撃したのが自分の親玉のCIAの上層部であることが分かり始め、コンドルは孤立無援の戦いを強いられる。そこからコンドルの反撃が始まる。先に記したアナログ的な手法を巧みに使い、仕掛けられたトラップを交わしながら、CIAという巨大組織をたった一人で向こうに回し、丁々発止の駆け引きを繰り広げる、そのアナーキーなスタンスがきっとハッカーたちのお気に入りの映画となった所以に違いない。

上層部はコンドル追撃のためにプロのハンターを雇う。この殺し屋ジョベアに名優マックス・フォン・シドーが扮している。プロとしての揺るぎないプライドを持つジョベアは最初、コンドルのことを歯牙にもかけない。ところが、最初の待ち伏せでしくじり、初めて当惑する。そして、逆にコンドルにまんまと電話の会話を傍受され、先を越される。

 そんな二人が最後に出会う。その時、ジョベルはコンドルに言う。自分は敵も味方もいない平和な世界に住んでいる、あるのはクライアントからの指令だけだ・・。皮肉にもその時、ジョベルに下された指令が変更されて、すでにコンドルは抹殺対象から除外されている。そしてジョベルはコンドルに向かって言う。「君もこないか?」プロがアマチュアにはじめて抱く敬意の表れなのだ。

 負け犬そのものの下っ端のCIA職員がたった一人で巨大組織を欺くカタルシス、オーウエン・ロイズマンのリアリステッィクなキャメラ、凍てつくニューヨークの風景、デイブ・グルーシンの音楽。そして何よりもシドニー。ポラックのシャープな演出。

ハッカーはもとより、スパイスリラーのジャンルではもっとも好きな映画である。

 ところで、この映画のコンドルが勤務する支局は世界中のミステリやフィクションのデータをコンピューターに入力するのが仕事なのだが、CIAがそもそもそんなことするのかと驚いた。でもあのトム・クルーズの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」みたいに日本のさして売れてもいなかったライトノベルがハリウッドに映画化されたことを見るにつけ、巨大資本が世界中にネタ探しの情報網をはりめぐらせているのもさもありなんとも思えた次第。

なにごとも情報戦争の時代なのですね~