負け犬的映画偏愛録

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田舎者VS地中のJAWSの大激闘!キャメロン印のエンタメ・パワー満載のモンスター・パニック・ムービーの超傑作!「トレマーズ」

カントリー・ピープルVS巨大ミミズ?B級映画ファンならずとも嬉しくなること間違いなしの快作。

(評価 78点) 

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 思わぬ拾い物、という言葉がある。映画ファンにとってはボーナス特典のようなこの言葉。その言葉が本作ほどふさわしい作品はない。そう、本作「トレマーズ」は思わぬ拾い物どころか、そんじょそこらの大作では決して得られないカタルシスさえもたらしてくれる思わぬ贈り物といったところなのだ。

 そもそも製作総指揮をつとめるゲイル・アン・ハードが、この脚本に目を止めたのも、あまりにもバカバカしい設定なのに、キャラクターたちが良く書けていることだった。確かに、ほぼ無名な脚本家コンビによる本作のコンセプトは、そのものズバリのJAWSがもしも地上に現れたらというものであり、巨大ミミズの化け物のパニック映画と聞くだけで、大抵の人はドン引きしてしまうはず。

 しかし、開巻早々、出てくるバル(ケヴィン・ベーコン)とアール(フレッド・ウォード)のコンビが、ブーたれながら絶妙な掛け合いを演ずるのを見れば、そんな不信感が吹き飛んで、たちまち映画に引き込まれてしまうのも確か。

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 とにかく本作は、キャラクター。それも思い切りド田舎のカントリー・ピープルたちが実にイキイキと描けている。そんなカントリー・ピープルたちが力を合わせてグラボイドの異名を持つこのモンスターに立ち向かっていくところが、とにかくエキサイティングなのだ。

 バルとアールは、ニッチな清掃絡みの雑用で賄いを立てているしがない野郎たちで、今日もゴミ回収やバキューム・カーでの汚物の処理などに追われている。ところが車での移動の道すがら、鉄塔で死んでいた老人を発見し、さらに途中、地震学者のロンダ(フィン・カーター)と出くわし、近辺で、異様な振動現象が起きていることを聞かされる。

 そんな時、道路工事の業者の無残な死体を発見した後、二人の目の前に現れた怪物こそミミズの化け物のようなモンスター、グラボイドだった。

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 やがて、二人はダイナーにいた町の人間たちと合流し、砦と化したダイナーに立て籠もり、何匹もいるグラボイドと戦うことになる。

 本作は、とにかく、とりもなおさず怪物映画のお約束を全面的に踏まえた展開と、バカバカしいほど作り物感丸出しのこのグラボイドに対し、一切手を抜かずに大真面目に、町の田舎ものたちが格闘するところがいい。このグラボイドがもし、CGで自在に滑らかに描写されるモンスターだったら、これほどの感動は絶対に得られない。これこそまさしくアナログならではの恩恵といったところだろう。

 本編通じてのそのお約束事が、このクラボイド、聴覚や知覚が異様に敏感で、地上の音に反応して行動すること。だから、こいつに追われたら、津波ではないけれど、まずは岩の上や建物の屋上に避難する、そして極力、音を立てないことが防御手段なのだ。

 だから、岩の上に避難し、動けなくなったバルたちが、ロンダの提案で、棒高跳びの要領で、長い棒を使ってピョンピョンとびながら岩を伝って脱出する、そして、後半、半壊したダイナーから、ブルドーザーに乗って避難する時も、囮替わりに無人のトラクターを使う。また、いよいよクライマックスでは、石を地面に投げて、その音をエサにおびきよせ、タイミンングを見計らい、ダイナマイトで撃退するなど、原始的なアイデアを矢継ぎ早に繰り出して、モンスターとのバトルシーンをつるべ打ちに展開するから、まったく目が離せない。

 最後、突進してくるクラボイドをバルが崖っぷちで交わし、崖の側面をクラボイドが粉砕してそのまま落下するところなどは、あのスピルバーグの「激突」の巨大トラックのシーンをそっくりなぞっていて笑わせる。

 大騒動が一件落着し、町を去ろうとするバルとリンダがお約束のキスでのハッピー・エンディングには、ジーンとさせてくれる感動すらあるから、もうB級エンタメ映画としては満点といっていい。

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 さて、本作には、その面白さ引き立てるのに、主役のバルとアールを出し抜くほどにひときわ貢献しているキャラクターがいる。クラボイドを恐れ、逃げ惑うだけのカントリー・ピープルの中で唯一、果敢に立ち向かう人物だ。自宅に核シェルターを備えたガン・マニアの夫婦である。この夫婦、とにかく無類のガン・マニアで、そのシェルターにありとあらゆる銃火器をコレクションしているところが可笑しい。そして、そんな夫婦が、クラボイドの出現とあらば、ここぞとばかりに嬉々として、コレクションしている銃を片っ端からぶっ放してクラボイドを撃退するのだ。

 このシーンの痛快なことといったら、もう、手放しでこちらも快哉を上げるしかない。

 忘れてはならないのが、本作のプロデューサーのゲイル・アン・ハードが当時、あのジェームズ・キャメロン夫人だったこと。ジェームズ・キャメロンは後に、キャメロン夫人ともなる女流監督のキャサリン・ビグローとともに無類のガン・マニアなことは知られている。

 嬉々として銃火器をぶっ放す夫婦が、このキャメロン夫妻の姿にダブって見えるというのは、うがった見方だろうか。

 しかし、キャメロンのエンタメに、いつもヒューマンなバックボーンがあるのと同様、本作の主役もクラボイドではなく、あくまでもカントリー・ピープルだ。彼らが結束して、知恵と力を振り絞ってモンスターと戦う姿があるから、こちらも熱くなれる。

 しかし、これが、何作も数えるフランチャイズとなったことは、さすがの製作陣も予測できなかったのではなかろうか(現に、一作目の興行収入は、ほんの小ヒットに過ぎなかった)。いくら一作目がこれほど良くても、さすがに2,3~となると見てみたいような見たくないような・・・