負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。そして、木枯し紋次郎を完全コミック化(笑)した「劇画!木枯し紋次郎」を日々、配信中!色々な動物が繰り広げる動物コミックもあわせてお楽しみください

負け犬が飛行機に乗っていてフト気付いたら周りの乗客が皆ヘビだった件「スネークフライト」

よっぽどヒマでもない限り、これは決して見てはいけない!と揺るぎない絶対の自信をもって言える超A級のボンクラ映画!

(評価 20点)

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金無し、知恵無し、工夫無し、その上更にやる気なし。タイトルさえ見れば中身すら見る必要も欠片も無い激烈なる超絶低級映画!

 生粋のB級映画フリークたちにとって抗いきれない誘惑の言葉がある。それは「B級映画の拾い物」という言葉。B級映画フリークたちは、その”拾い物・・”という甘い誘惑の言葉に釣られ、ひょっとして・・の願いを胸に秘めながら、その作品におそるおそる手を伸ばす。

 果たして、それが当たり!であれば、喜び勇んで小躍りする。そして、ひとしきり喜び勇んだその後は、新たな作品を物色するアンテナを立てては静かに次なる獲物を闇の中で待ち受ける。その姿は何処か、ひっそりと小動物が到来するのを待ち続けるヘビの姿にも似ている。

 タイトルのせいで損したB級映画の拾い物・・そんな風のうわさを耳にしつつ、たまたま見ていなかった本作を、偶然、TSUTAYAの棚に見つけ、例によってひょっとしてのアンテナが反応して借りた本作は、その風のうわさが全くの空耳か、口からでまかせなことが明白な、どうしようもない低級映画だった。

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 あのサミュエル・ジャクソンがFBI捜査官として堂々、主役を張る本作。一番の問題は作品の心臓部の、そのプロットにある。世にいうネタばらしという言葉。しかし、本作に限って言えばネタばらしなど別世界の言葉に過ぎない。だってそのタイトルそのものが語っている。

 そもそもの、そのお話しとは、ある麻薬組織の犯罪を偶然。目撃した証人。その証人を捜査官のフリン(サミュエル・ジャクソン)がハワイからLAの裁判所に飛行機で移送するのだが、その飛行機には証人を抹殺する目的で、組織によって仕掛けられた大量の積み荷が積載されている。その積荷の中にいるのは無数の毒蛇たち、やがて時限装置で発動したフェロモンの効果で箱から溢れ出した毒蛇たちが一斉に乗客たちを襲い出す。

 このプロットを聞いた人間なら、誰でもこれっておかしくね?と、思うだろう。そう、飛行機の中のたった一人の証人を殺害するのに、こんなに成功率がゼロに近いほど低くて、手間だけがかかる方法を何で取るのだ?という疑問である。普通の人なら、そこから匂い立つ胡散臭さでこんな代物には手を出さない。しかし、年だけ取ったやさぐれ映画フリークは、ここで深読みをしてしまうのだ。「きっと、物語に何らかの必然性を持たせる工夫をこらしているに違いない!」

 ところが、本作、アゴがはずれんばかりに驚くのが、そんな工夫など微塵もなく、本当にそのプロットのまんま、とにかくヘビが多けりゃ、一匹ぐらいは証人を仕留めてくれるはずといった、ご都合主義全開の論理で突っ走る。そんなに大量のヘビ、一体、ヘビー級に厳重な空港のセキュリティーはどうすんの?の疑問の声も露ともはねつけず、実にアバウトな描写だけでさっさと片付けて唖然としてしまう。

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 その後に展開するのは、誰でも想像がつく、めくるめくヘビによるアタック・シーン。最初にお約束通りカップルが襲われ、次いでは兄ちゃんが〇ンコを咬まれ・・・。

 とにかく飛行機の中でヘビが暴れたら面白いだろう、という単純無欠なコンセプトの本作の脚本は、驚くべきことにストーリー原案も含め、数人がかりの労作。とはいえ、予算がないのは明白で、主役といってもいい旅客機の実景は、空港でそれが鎮座しているたったの1カットが、ちらりと映るだけ。金のかかる離陸のショットすらなく、いきなりチープなCGの飛行機が空を飛ぶシーンに切り替わる。

 うじゃうじゃ出て来るヘビたちも無論、みんな粗雑なCG。その後もすべてが予定調和。パイロットたちも死亡。パイロット不在となった旅客機の運命がフリンとスチューワーデスの手に委ねられ・・、といった具合に、もう、途中からはヘビなんかどうでも良くなって、ただの航空パニック映画と化す。

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 最後に、不時着を果すフリンの相棒となるのが、フライトシュミレーション・ゲームオタクの黒人の兄ちゃんというのもお約束通り。

 そしてラストに至っては、そもそもの証人がどうの、組織の奴らがどうのなんて話もどこかに消し飛んだ能天気なハッピーエンディングときたら、開いた口が塞がらない。

 しかし、本作を語る上で欠かせないのが、タイトル。邦題は一応「スネークフライト」なのだが、原題は「SNAKES ON A PLANE」、そう「飛行機の蛇」。普通、タイトルというのは、キャッチーな効果を狙って、色々、工夫を凝らすもの。ところが、本作の場合、長い物には巻かれろ的なやる気の無さがタイトルにまで現れている。

 というわけで、よっぽどヒマな人にしかお勧めしない作品だけど、やっぱりヘビが好きなんだ、そいつが飛行機の中で暴れるのを見たいんだ、本当にそれだけで満足なんだ、という人にはひょっとして当たりの作品なのかもしれませんけどね~

 いずれにせよ、やさぐれたB級映画フリークは、今後もこうした危ない作品に時折、手を出しては爆死を続けて行く運命なのでしょう。