負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。そして、木枯し紋次郎を完全コミック化(笑)した「劇画!木枯し紋次郎」を日々、配信中!色々な動物が繰り広げる動物コミックもあわせてお楽しみください

負け犬のスター降臨!圧巻のオーラに涙「トップガン」

スターになるべき運命の下に生まれた人間。抗えないその運命の船出に決然と乗り出した未来のスターの凛々しき姿に涙!

(評価 84点)

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F14のジェット噴射のように空高く舞い上がり、映画の世界のアイコンになったトム・クルーズのその瞬間を目撃する。

 人間というものを貪欲に消費し続ける非情の世界ハリウッドで、もう30年以上にわたりマネーメイキング・スターの座に君臨する。トム・クルーズは、地球上でもほんの僅かしかいない、その有り得ないことをやってのけているモンスター級の存在といっていい。

 「卒業白書」と「レジェンド 光と闇の伝説」の二作で、駆け出し中の若手スターに過ぎなかったトム・クルーズを映像派のトニー・スコットが見初め、本作に大抜擢。かくしてこれ一作でスターの座を名実ともに不動のものとし、その後の30余年にわたって今も尚、威光を放ち続けているというバック・ストーリーは誰でもご存知のはず。

 本作は、そんなトム・クルーズの放つオーラとスターの道を歩みだす覚悟すらうかがえる運命の歯車の回転のような力強さが、全編にわたって満ち溢れている。

 その魅力といえば、まずは、はち切れんばかりの生命力と、満面の笑顔をたたえるように輝くキラキラとしたその目でしょう。

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 型破りそのもののパイロット、マーヴェリック(トム・クルーズ)は、ある日、相棒のグースと共に、エリート・パイロット集団のワークショップ「トップガン」に配属される。かくしてライバルとなるアイスマンヴァル・キルマー)との確執、そして教官チャーリー(ケリー・マクギリス)との恋を経て、マーヴェリックが、真なる自我に覚醒し、本物のパイロットになるまでを描く本作。

 そのストーリーは一点の揺るぎもない王道そのもの。天才的な直感のみに頼りラフプレイを繰り返す無軌道な若者が、親友の死のトラウマで牙を抜かれたようになり、ライバルや恋人のサポートを経て窮地で覚醒する。

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 本作で覚醒したのはクルーズだけではない。兄のリドリー・スコットを追うようにCMディレクターから映画監督に転身し、そのフォトジェニックなスタイルと、エンタメの坪を押さえた映画作りのバランス感覚で後に多数の作品を残すことになる本作の監督トニー・スコットもまた例外ではなかった。

 でも、白状すると、本作の真価に覚醒したのも、実に30数年ぶりに再見した今回だったのです。その昔TVで見た時は、確かにそのビジュアルの数々は鮮明に記憶に焼き付いた。しかし、ドラマチックな感動までには至らなかった記憶がある。

 しかし、今回、再見してデンジャー・ゾーンのBGMと共に、フィルタリングされた空を次々に舞っていくトム・キャットのイントロにたちまち引きずり込まれ、その後のスポ根ものを地で行く展開に涙どころか号泣までしてしまったのは、こちらもすっかり年を取ってしまった感慨からなのか。

 実際、若かりし頃のケリー・マクギリス(今はすっかりオバさんになってしまった)や後のラブコメの帝王メグ・ライアンなどがチラホラと出て来るだけで、何だか切なくなるものがあった。

 加えて、アビエーター・サングラスをかけ、革ジャンを羽織ったクルーズがバイクをすっ飛ばすショットの健在のカッコ良さ。ロシアンが何の理由もなく、いきなり攻撃してきてドッグ・ファイトを演じてしまう戦争御免のノーテンキなクライマックスも、重箱の隅をつつくようなもの。結局は、最後にマーヴェリックが相手を仕留めたところで、画面と一緒に快哉を上げ、その余韻にひたりつつエンディングを見守るという至福の時間を過ごすことが出来た次第、

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 クルーズは本作当時、実に24才。そして、いよいよ還暦を目前にして本作のキャラクター、マーヴェリックを再び演じた最新作が控えている。誰も寄る年波には勝てない、もう若く無軌道なキャラクターは望むべくもないのは明らかだが、今度は、どんなベクトルを発揮して酔わせてくれるのでしょうかね~

願わくばせめてCGだけには頼り過ぎない作品になっていて欲しいところですが