負け犬があまりにもクダラナイ時間泥棒映画に怒りを爆発させた件「グッドネイバー」
ただ思わせぶりなだけで中身は空っぽ。時間泥棒映画の見本のような低俗きわまりない最低映画。
(評価 5点)
この負け犬が一番嫌いな類の映画が、あのPOVというやつ。要は主観映像で進行していく類の映画である。あれの何がいけないかというと、結局、ダラダラと主観映像だけが続いていき、体裁だけ思わせぶりなだけで、必然的に映画の中身が空っぽになってしまうからに他ならない。
本作は、そうした主観映像が主体というわけではない。大きな比重を占めるのが、監視カメラのモニター映像。それもご近所トラブル必至の、他人の家に仕掛けたモニター映像だ。
映画では二人のガキが、隣人の老人の家に監視カメラを仕掛け、24時間の生活に密着することを思いつき実行する。うら若きオネーチャンのプライベート・ライフならいざ知らず、一人で細々と暮らす老人の生活に密着して何が面白いの?と誰もが思う。
しかし、映画では、その老人がちょっとクリーピーだ、というだけでプロジェクトが独りよがりに進行していく。案の定、このシークェンスを占めていくのが、ただ老人が寝て起きるというだけの監視カメラのモニター映像と、合間にシャッフルされるスマホやVTRキャメラでお互いを撮り合う主観映像ということになる。
そこで、老人の行動を監視するうち、二人が気付いたのが、老人が何度も地下室に足を運ぶこと。あの家の地下室には何かがある、二人はそう睨んで、監視を続けるのだが・・。
本作のパッケージには、「ヴィジット」「ドント・ブリーズ」に続く老人スリラーと書かれてある。前半でダラダラと続く監視のシークェンスにウンザリしながらも、パッケージの惹句を見れば、後半部分にサプライズがあると誰もが思う。だから、あまりにもツマラない前半、中盤も辛抱して付き合うことになる。
老人が、一晩中、地下室にこもることがあるのを見るにつけ、いよいよ地下室の存在を怪しんだ二人は、隣家への侵入を決行する。そして、二人のうちの一人が、ある夜、不法侵入した結末とは?
勿論、ここでは書けないわけですが、ただ一言、言えるのは、本作は、決して見る必要が無いという事。見たら最後、この負け犬のように憤懣やるかたなく。血をたぎらせて怒りを爆発させることになる。
ジャンク・ムービーであれば、それはそれで割り切って見ることが出来るからまだいい。本作のように、まるで中身があるかのように見せかける体裁だけの映画が一番、腹が立つのです。
そして、何よりも悲しいのが、こんな薄っぺらな内容の本作で老人を演じているのが、あの70年代に燦然と輝いていたジェームズ・カーンであること。「ゴッドファーザー」は言うに及ばず、数々の映画でヴァイタリティー溢れる存在感を見せつけてくれていたジェームズ・カーンが、本作で二人のアホなガキの悪ふざけのターゲットにされる独り暮らしの老人を演じているという、あまりにも悲しい事実。
どんなスターであれ、晩年になればオファーは途絶えるもの。あのトム・クルーズだって、そのうちその運命が待っている。この映画を見ていると、そんな晩年のかつてのスターが、スマホ世代の若い映画人のオレオレ詐欺にでも会っているようで、何だかこちらまで身につまされるようで辛かった。
映画遍歴を続けていれば、こんなクサレ映画の爆弾に出会うのは致し方ないが、結構、傷跡は引き摺るものなのです。だって、未だにはらわたが煮えくり返っているのだから。
しかし、ポンコツ映画、ポンコツ映画と罵れば、それがどんなポンコツぶりなのか見たくなってくるのが映画フリークの悲しい性というわけで・・・
ひょっとして、あなたも見たくなってきたのではないでしょうか?自爆覚悟でご覧になりますか?(笑)