負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬もラストに驚愕した逆転の監禁飼育の恐怖「ロザリー残酷な美少女」

美少女が男を監禁飼育する!その果てに待ち受ける衝撃の結末とは!?70年代B級タイトホラーの拾い物の傑作

(評価 70点)

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懐かしの「ゴールデン洋画劇場」

 その昔、といっても大昔だが、あの「ゴールデン洋画劇場」で、「未公開映画傑作選」なるラインナップを立て続けに放送するという、まるでB級映画マニア向けに特別にアンテナを振ったかのようなイベント企画をプランニングしてくれたことがあった。

 何週間かにわたって放送され、ジャンルとしては必然的にホラーのカラーとなるその作品群で、ひときわ抜きんでていたのが本作「ロザリー残酷な美少女」だったのだ。

 社用でLAに向かう一人のセールスマンが、一人の少女のヒッチハイカーを拾ったことから悪夢が始まるという本作の見所は、何と言ってもショッキングなそのラスト。もう何十年も前になるというのに、負け犬も、この衝撃的なラストカットだけは記憶の淵にくっきりと残っていた。

 もともと未公開映画、ゴールデンタイムとはいえ企画モノでスポット的に放送されただけの作品とあって、本作の衝撃は、記憶の澱に残りつつも作品そのものは忘却してしまっていた。しかし、ひょんなことから本作のことを思い出し、IMDBで原題を探り当て、例によってYoutubeで検索してみたら、何とヒットし、ほんとうに、何十年ぶりかの再見を果たした次第。今は、こんな形で映画と再会できるから、スゴい時代になったものだよなと、しみじみ思いつつ、見た本作は、セブンティーズ・テイスト満載の、記憶に違わぬ快作だった。そして、あのラストカットの衝撃を再び味わうことが出来て、ある種の感慨すらあったのだ。

 

パクリの帝王

 かつて大ベストセラー作家としてその名を轟かせたスティーヴン・キング。ベストセラー作家とはいいつつ、パクリばかりやっていたこの三文作家の代表作とされる「ミザリー」。実はその「ミザリー」、キングが本作「ロザリー残酷な美少女」をそのまま臆面もなくパクッて書いた作品なのだ。パクリであることは誰が見ても一目瞭然、それ以前にタイトルを聞いただけで誰でも分かる。

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 ただし、キングがパクリたくなるのも良く分かる。それほどまでに、本作「ロザリー残酷な美少女」は、一人の少女が、成人の男を監禁し、飼育するという異常なプロットを、きっちりと巧みにワン・シチュエーションに落とし込んでタイトなスタイルで描き切っている傑作だからだ。

 荒れ地にポツンと立った掘っ立て小屋。ネイティブの少女ロザリー(ボニー・ベデリア)が歌を口ずさみながら穴を掘っている、ロザリーは死んだばかりの父親を埋葬しているのだ。こんな出だしから本作は始まる。そして、道すがらセールスマンのバージルの車にヒッチハイカーとして乗り込んだロザリーは、そのまま自分の小屋にバージルを誘い込む。

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 たった一人で住むロザリーに同情したバージルは、しばし、ロザリーと時を共にするが、ロザリーはいきなり斧を掴むと、その斧を振り下ろし、バージルの足の骨を折る。「たった一人で暮らしたくなかったの・・」かくして、バージルとロザリーの砂漠での二人きりの奇妙な生活が始まる。

 本作はこのプロットの通り、登場人物は、ロザリーとバージル、そしていかれたヒッピー風のバイカー、フライのたった三人だけ。舞台劇と言ってもいい、スモール・スケールの本作だが、凡百のホラー映画などより、抜きん出て抜群に面白いのは、この負け犬のホラーのマイベストにもランクインしているあの傑作「悪魔の追跡」を撮った監督ジャック・スターレットの職人芸に負うところが大きい。

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 更には、ネイティブの少女として、幼いながらも危険極まりない異様なエキセントリックさを備えたロザリーを演ずるボニー・ベデリアの魅力に尽きる。このボニー・ベデリアの少女の幼さと、大人の女のエロさを備えたビキニ姿は、最大の見所というべきか。

 足を折られ、寝たきりと化したバージルと暮らす二人の生活に、金目当てのバイカーのフライがハイエナのように介入した時、二人だけのパラダイスは破綻する。そして、くだんの衝撃のラストが待ち受ける。

 本作でロザリーを演じたボニー・ベデリアは、後にあの「ダイハード」のマクレーンの奥さんホリーとして世界中にその顔が知られるようになる。後の面影の片鱗が垣間見える、ボニー・ベデリアのコケティッシュさも魅力の一つといえるでしょう。

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 こんなにエロ可愛い女の子になら、たとえ足をへし折られても監禁されてみたいと思う負け犬は、立派なマゾヒストかもしれませんね~