負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

フィギュアもいいけど映画もグッド「デッドプール2」

アメイジング・ヤマグチのデッドプールのフィギュアのあまりのカッコ良さに一目惚れし、半年間も悩んだ挙句、年甲斐もなくそのフィギュアをまんまと買ってしまったこの負け犬。よもやと思ってみたパート2は大正解の快作でした

(評価 72点)

f:id:dogbarking:20210227085116j:plain
失望の一作目を経て、とりあえずのスタンスで見たパート2。「ヘルボーイ」のように2作目が大傑作というほどのレベルではないけれど、一作目とは打って変わってエンタメとしては申し分のない快作だった。

 人生はパート2から始まる、みたいなキャッチフレーズがピッタリの本作。そもそものデッドプールのキャラの魅力を生かしつつ、エモーショナルなプロットの起伏を交えたしっかりとしたストーリー構成で楽しませてくれる作品になっていた。

f:id:dogbarking:20210227085022j:plain

 やっぱりフィギュアを買ってしまった人間としては、開巻のウルヴァリンのフィギュアに引導を渡すデッドプールというファースト・シーンにまず鷲掴みにされてしまうのです。そしていきなりのデップーの爆死?すぐに爆死に至った顛末が麻薬カルテルの悪党どもとのアクションを交えカットバックでテンポ良く描かれる。一作目の終始ドン引きしていたようなスタンスとはまるで事の次第が本作については出だしから何やら違うのです。

 現にこのシークェンスでもデップーは2作目が1作目とは違ってれっきとしたファミリー映画?だと宣言している(上出来のファミリー映画は常に血みどろの虐殺から始まるとも)

 今回の成功の要因は、何と言ってもストーリーのプロットをちゃんと展開させているところが大きい。冒頭の爆死も、恋人のヴァネッサが銃弾に倒れ、それを悲嘆した末の顛末で、というところから007のモロパロディのイカすタイトルバックが展開され、本編に突入するのだ。

バラバラになったところを救われ再生したデップーはXメンに加わる。そして、そのファースト・ミッションで出会うのが、本作のキーマンでもある太めのミュータントの少年ラッセルだ。

f:id:dogbarking:20210227085252j:plain

 使い古しといえばそれまでだけど、ヒーローが少年を守るという定石が本作の骨格をちゃんと成しているのは確か。だからこそ、本作で、デップーと堂々渡り合う敵役でもあり、後に共通の敵ともなる相手にバディとして立ち向かうことになるケーブルの存在が生きて来る。そして、何よりもそのことで、デップーの持ち味のギャグが初めて冴える。

 自らもミュータントのデップーの、今回、真の敵となるのがその当のミュータントたちを養成する組織、いわば巨大な体制で、個人と組織との確執というファクターもエモーションを掻きたてられるに十分な要素になっていると言える。だからこそ、いよいよデップー本来のアナーキーなキャラが真価を発揮するのです。

f:id:dogbarking:20210227085311j:plain

 デップーといえば欠かせないのがやっぱりそのギャグ。という点に関しても本作は際立っていた。ラッセルを組織から奪還するためにデップーが編成するチーム。しかし、フェミニストのデップーはXメンというネーミング自体、女性がないがしろにされていると主張し、今回、プライベートに結成するチームの新たなネーミングを提案。そのチーム名が『Xフォース』?。この嫌味にならない程度のギャグセンスが今回は、映画本編を通じて横溢していたのではないでしょうか。

 チームといえば当然メンバー集め、というわけで何せ「荒野の七人」の時代から、一つのプロジェクトの仲間を集めるオーディションのシーンには誰もが血を掻き立てられるに決まっている。本作で白眉なのがその誰もが爆笑するオーディション・シーン。とにかくここで集まって来るとんでもなくポンコツな面々には笑わされること必至。そして、またそのオーディションを経て、集まったポンコツ極まりない奴らが、強大な敵に立ち向かうという王道の展開になるのか、というツボをあっさりぶち壊す、潔いオフ・ビート感も実に爽快。

f:id:dogbarking:20210227085343j:plain

 かくしてクライマックスは既視感ありありなのが難点だけど、メンバー勢揃いでGメン75よろしく(分からねえだろ~な~)足並み揃えて歩くシーンでエンディングとなる本作。パート2で拍車をかけるフランチャイズとしての役割は十分すぎるほど果してくれたといえる作品ではないでしょうか。

 そしてやっぱり気になるチミチャンガ。今も自分の目の前に二丁拳銃を突き出し、立膝ついて鎮座しているデップー・フィギュアを見つめながら、その味に思いをめぐらせている今日この頃なのです。