負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。また、日々のトピックや時事問題に関する雑感を、生き物たちが繰り広げる動物コミックのスタイルでご紹介!どうぞお楽しみください

負け犬のアメコミヒーローに死亡遊戯のレシピを加えたらとんでもなく美味な料理が出来ちゃった件「ジャッジドレッド」

死亡遊戯的テイスト満載の空間で超法規的マスクマンの警察官が犯罪者の群れと戦いながら最上階を目指す!中二病映画小僧垂涎の夢の結晶のような傑作リブート!

(評価 84点)

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映画小僧なら誰でも即反応する、閉鎖空間というシチュエーション。そこにアメコミヒーローという成分を落とし込めば、どんな化学反応が起きるのか?それが格好のレシピとなって出来上がったスパイシーな逸品が本作だ。

 AD2000というマイナーな英国発のコミック誌で産声を上げた超法規的な正義の執行人ジャッジドレッド。その昔。この負け犬も紀伊国屋書店の洋書売り場で見かけたドレッドを数冊所有し、読んでいた。ドレッドの特長はそのマッチョなマスクを決して脱がないこと。ところが、そのドレッドが、シルベスター・スタローン主演で映画化され、世間の悪評の割には気に入った負け犬も何度か見てはいたものの、やはりスター主義が災いし、マスクそっちのけで、スタローンが素顔を晒して戦うのが不満だった。

 そんなドレッドが、10年近くの歳月を経てリブートされると耳にした時も、食指を動かされることもなく。リブート版の存在すら忘れていたが、風のうわさでたまたま耳に入ったリブート版の好レビューが気になって。よもやとばかりに見てみたら、これが感激ものの大傑作だった。

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 何よりも良かったのが、そのタイトな脚本。鑑賞後、ふと目にした脚本家の名前を見て少々、驚いた。あのアレックス・ガーランドだったのだ。ガーランドといえば、バックパッカーノベルの「ビーチ」で一躍ベストセラー作家となった、どちらかといえば文学寄りの作家。それがダニー・ボイルの「28日後」で、アポカリプスものに新風を吹き込むオリジナルシナリオを手掛け、映画界にも進出していたとこまでは記憶にあった。

 そのガーランドと思わぬところで再会を果たし、改めて、ガーランドのポップながら、エンターティメントのツボを押さえたヒーローものに仕立て上げた手腕に感服した。

 この脚本の最大の功績は、ヒーローものに、大胆な閉鎖空間もののテイストを持ち込んでみせたこと。ドレッドがバイクの爆音を轟かせて、悪漢を粉砕するイカすイントロから、このピーチツリーという巨大な閉鎖空間のシチュエーションになだれこんでいくくだりから思わず身を乗り出し、後はゲーム性にも満ちた本作の世界にどっぷり浸りこみ、95分というB級映画並みに短いタイトなランニングタイムを目いっぱい、楽しませてもらったという次第。

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 そして、言うまでもなく、それ以来、本作はこの負け犬のフェイバリットとなって、事あるごとに見返して悦に入っているのだ。

 更に嬉しい悲鳴と言うべきは、ドレッドに扮したカール・アーバンがいさぎよくその登場から最後にいたるまで決してマスクを脱がないこと。被りっぱなしのアナクロなマスク姿のプロフィールは、まさにコミックのドレッドのビジュアル・イメージそのまま。他にも、敵役のヴイランの悪人ママに超美人女優のレナ・ヘディをキャストするなどのサプライズもあいまって隅々までマニアックに楽しめる、中二病の映画小僧垂涎のおいしい映画となっている。

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 それにしても、閉鎖的な高層空間の最上階にラスボスがいて、その空間で敵を倒しながら、ヒーローが最上階を目指すだけという単純極まりないシチュエーションに、映画フリークというのは、どうしてこうも琴線を揺さぶられるのでしょうか?そのルーツにあのブルース・リーの「死亡遊戯」があるのは、映画史的に見てもおそらく確か。ひょっとして星の数ほど粗製乱造されていたはずの香港製クンフー映画にはあったかもしれないけど、現に、ある程度のメジャー級の映画で「死亡遊戯」以前にそんなシチュエーションの映画を見たことは、この負け犬の記憶ではなかった。

 やはり、今も尚、何かにつけてブルース・リーは偉大というべきか。