負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう崖っぷちの映画録。また、たまに<映画をエンジョイ英語もエンジョイ>と題して、映画の実際のスクリプトを原文と翻訳でご紹介。英語学習気分もちょっぴりどうぞ!

負け犬はディズニー・ランドからやって来る「ヒッチャー」

ここでクイズを出題。「ヒッチャー」のジョン・ライダーはディズニー・ランドからやって来ましたが、本作の監督ロバート・ハーモンはどこからやって来たのでしょうか?答えは以下・・

(評価 85点) 

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今更言うまでもないサスペンス・ホラーの超絶的傑作「ヒッチャー」。若い時分にこれを見て、完璧に撃ち抜かれてから今に至るまで、自分はこの作品を何度、見続けていることか。それでも決して見飽きない、見飽きることなどあり得ないのは、簡潔にして奥が深いエリック・レッドの脚本もさながら監督のロバート・ハーモンの功績なのは間違いない。

 無人のガソリン・スタンドに立ち寄ったジム。そこにいきなり、直前に助手席に乗せて車から突き落としたはずのサイコパスのヒッチハイカーのジョン・ライダーが4WDに乗り、ガラスを突き破って急襲してくる。逃げるジムの足元を追うキャメラ。給油タンクがはじけ路面にぶちまけられるガソリン。ライダーがマッチに火を点け、ガソリンで濡れる路面にそれを落す、それをスローモーションで追うキャメラ、引火した炎がまたたくまに蛇のようにのたくってジムの足に追いすがるが、間一髪で車に乗り込む。そして、爆発し燃えさかるガソリン・スタンドをバックにジムの車はからくも脱出する。

 初めてこのシーンを見た時のインパクトは忘れられない。巧みなコンテにシャープな編集、カット構成、何てスゲエ技巧を持った監督だと思った。これ以外にも本作において見事な演出術の冴えを物語るシーンを挙げだしたらキリがない。ある時はヒッチコックのような巧みさ。そしてある時はスピルバーグのような上手さ。これ一作で負け犬的映画遍歴にロバート・ハーモンの名は確実に刻み込まれた。

 ところが最近DVDの特典で、そもそもロバート・ハーモンが本作の監督に抜擢されたのもハーモンが製作した20分の短編映画「チャイナ・レイク」をプロデユーサーが見たことだったのが分かり、叶えられないとは思いつついつかはその「チャイナ・レイク」を見たいものだと熱望していたのだが、幸運の女神というか、いつものYOUTUBEのおかげでそれを見ることが出来てしまった。

 そうして見たところ、これってまさに「ヒッチャー」そのものじゃないかって、「ヒッチャー」で見せることになるシャープな演出の片鱗もそのままに完全に驚嘆させられてしまったのです。内容やストーリーは全く違う、それでもその世界観は、まさしく「ヒッチャー」。

 「チャイナ・レイク」で描かれるのは、休暇を取ったある白バイ警官が砂漠地帯で過ごすとある一日の出来事。何処までも砂漠に伸びる一本道。そして道端にポツンと佇むダイナー、といった具合にビジュアルも「ヒッチャー」に出て来るイメージそのまま。

 そして愛車のハーレーを駆るその白バイ警官が、休暇中にもかかわらず一人の女性ドライバーにスピード違反のチケットを切ろうとするところからストーリーが始まるのだが・・これ以上は話せません・・是非、ご覧のほどを(今も見れるかどうかは知りませんが)。ハーモン自ら手掛けた脚本が見事なのも、これが後にフル・レングスのTVムービーになったことからも分る(こちらも監督、キャストは違えど見事な作品になっていた)

 かくして冒頭のクイズの解答は。「チャイナ・レイク」ということで、それを出発点に見事に長編劇場映画デビューを果たしたロバート・ハーモンだったのに、その後は、これ一本のみで今に至るまでほぼ鳴かず飛ばずでいるのが負け犬的に実に悲しいところなのです。ああ、またハーモンのイカす演出のホラーが見たい。仕方ない、それまでは、しっかりDVDにコピーした「チャイナ・レイク」(勿論、あくまで個人視聴が目的でございます)で我慢することにしよ~っと