負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬のお宝映画発掘隊!未体験のお宝映画教えます「ザ・チャイナレイク・マーダーズ」

白バイ警官の灼熱の殺人ヴァケーション、あの伝説の映画「ヒッチャー」との血縁の絆で結ばれたTVムービーの傑作!(評価 72点)

f:id:dogbarking:20220306060323j:plain

 

 

 

ヒッチャー」との血縁

 YOUTUBEという有難いプラットフォームのおかげで、その存在すら知り得なかった映画たちに出会えるこの時代。そこで発掘したお宝映画をご紹介するこのシリーズ。今回ご紹介する「ザ・チャイナレイク・マーダーズ」、実はこの作品は、今も多くの人たちに愛され、この負け犬も未だに心酔し続けて止まないあの名作「ヒッチャー」と、血縁と言ってもいいほどの固い絆で結ばれた作品なのだ。それもそのはず、本作は、「ヒッチャー」の監督ロバート・ハーモンが自ら製作し、同作の監督に大抜擢されるきっかけとなった短編「チャイナレイク」がそもそもの元ネタとなっているのだ。

 田舎の一人の白バイ警官が、年に一度の長期休暇を利用し、カリフォルニアのチャイナレイクにやってきては殺人を繰り返すという、サイコパスのとんでもない白バイ警官の殺人ヴァケーションというアイデアで作られたこの短編映画。この短編自体、大抜擢されたのも当然と言っていいほどの才気走った目の覚めるような傑作なのだが、本作は、この24分の短編を実に旨く取り込んでフルレングスの上出来のフィーチャーに仕上げている。

 そして。もう一つ驚くのが本作、劇場映画ではなく、米国のお茶の間で放映されたTVムービーであること。あのスピルバーグの「激突」がそうであったように、米国のTVムービーには劇場映画のポテンシャルを遥かに超越したような作品が山のようにあって、そんな作品がこれまた無尽蔵にYOUTUBEにはUPされて、その恩恵に授かることが出来る。これは何度も言うが、実に有難い時代になったものです。

 

dogbarking.hatenablog.com

 

作品データ

 一人の白バイ警官の行動を描いた元ネタの短編を長編化するにあたり、本作が巧みに持ち込んだのが、そのサイコパスの警官と良識的な警官が対決するというオーソドックスな図式。この善と悪とのショウダウンという分かりやすい構図のおかげで、最後までテンション途切れることなく見せてしまう脚色は、ひとまず見事としかいいようがない。

f:id:dogbarking:20220306060435j:plain

 そして、それを演ずる俳優のキャスティングが見事なのも見所なのだ。サイコパスの警官を演ずるのが、一般には、タランティーノ映画でお馴染みのマイケル・パークス。そして、そのサイコパスと対決するのが、「エイリアン」や「トップガン」などでお馴染みの名バイプレイヤー、トム・スケリット

 とにかくこのサイコパスのマイケル・パークスが実にいい。元々、この人の個性はその不適で何を考えているのか分からないところなのだが、本作ではその個性を100%発揮して、サイコパス特有の、一見、普通人でありながら、その実、内面には凶暴きわまりない暴力性を秘めているサイコパスを見事に演じている。

 冒頭、何処までも続くハイウェイを白バイがひた走るイントロから、ラストの対決まで、ジリジリと焼け付くような、そのドライなムードは、まさにあの「ヒッチャー」そのもの。

 ディズニーランドからやって来た殺人鬼「ヒッチャー」でルトガー・ハウアーが演じたジョン・ライダーを愛する人ならきっと本作も満足するに違いない。

 

YOUTUBE

 本作の元になったロバート・ハーモンによる傑作短編は以下


www.youtube.com

 

 そして本編は以下で、それぞれ視聴できます。ホームビデオ同等の画質なのは悪しからず。


www.youtube.com