負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬のレイプはレイプでもいい加減なレイプリベンジだけは願い下げな件「REVENGEリベンジ」

いたいけな若い娘が野卑な男に蹂躙され犯される。そして、傷ついた死の淵から女が復讐のために立ち上がる!さあリベンジだ!・・でも結局、トンチンカンなバカ映画!

(評価 30点)

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アッパーなオネーチャンがナイスでグッドなルックスの妻子持ちの彼氏の別荘にやって来る。そのゴージャスな別荘で、彼氏とルンルン気分になって浮かれていたら、やって来たのは如何にもゲズな二人組の男たち。かくしてアッパーネーチャンの戦いの火ぶたが切って落とされる。

 見ているうちに段々とあきれてきて、しまいにはドン引きの呆然状態で見終えてしまう、なんてことがあるけれど、そんな映画がまさにこれ。

 焼け付く砂漠に一機のヘリ。降り立ったのはジェニファー(マチルダ・ルッツ)。ジェニファーは、ジェニファーと不倫関係にあるリチャードの別荘で二人きりのアバンチュールを楽しもうとやってきたのだ。

 別荘は豪華そのもの。その広々とした別荘で早速、セックスする二人。しかし、翌朝。ゴキゲンな気分のジェニファーの前に二人の男が現れる。明らかにリチャードとはクラスが違う野卑な風体の二人組。しかし、どうやらリチャードと砂漠のハンティングを楽しむためにやってきたリチャードのお仲間らしい。

 そもそもルンルン気分のジェニファーは、リチャードの知り合いなら大丈夫と、その夜のパーティで、調子に乗って、三人の目の前でセクシーダンスも披露。舌なめずりする男たちの前で散々、腰を振ってサービスする。

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 ところが、翌朝、部屋にズカズカとやって来たゲス野郎の一人が、ジェニファーに言い寄って、肘鉄くらわされたら逆上し、ジェニファーをバックから激しく犯す。犯されたジェニファーはリチャードに涙ながらに訴えるが、妻子にバラすとジェニファーに言われた途端、それまでの優しい彼氏から一転、暴力男に豹変する。果たしてジェニファーは?

 名作「わらの犬」は言うに及ばず、B級ホラーと言ってもいい「アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ」といったレイプ・リベンジジャンルにカテゴライズされる作品では、とりもなおさずキャラクターがそれなりに描けていた。だから、か弱い立場の女性が、野獣さながらの男たちに蹂躙され犯されると、情緒が揺さぶられ、こちらの感情移入のエモーションも高まるわけだが、本作におけるジェニファーにそれはない。

 見るからにアッパーで、不倫をチャラチャラと楽しみ、その勢いでフェロモンを振りまきまくった挙句に男に犯される娘を見ても、正直、自業自得でしょ、としか思えない。

 しかし、本作はそのジェニファーの行動のみならず、ここからとんでもないご都合主義の世界に突入し始める。

 リチャードにブン殴られたジェニファーは、ショックと恐怖から、逃げるつもりなのか、そのまま不毛の砂漠に向って全力で走り始める。その後を追う三人の男たち。やがて、ジェニファーを崖っぷちまで追い詰めると、リチャードはそのままジェニファーを突き落とす。

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 十数メートルはある、崖を落下し、地表に生えていた鋭い木の幹に串刺しになるジェニファー。ところが、意識が戻ったジェニファーは串刺し状態のまま、木の幹をへし折り、歩き出す。そして、身を潜めていた池の中で、三人組でも一番、しょぼい男を見つけると、その首を絞めて、まずは第一の血祭にあげる。

 いくら脇腹とはいえ、太い木の幹が突きささったまま・・?それでこんな事が出来るのか?誰もが思うが、ここまでなら、酌量の余地は何とかある。しかし、常軌を逸し始めるのはここから。ジェニファーはリチャードから貰った、強烈な幻覚作用があるという昆虫の干物をペンダントの中にしまい込んでいた。その昆虫のことを思い出し、それを口にするジェニファー。すると、たちまち痛みが消え失せ、その勢いで腹に突き刺さった木の幹を引っこ抜く。そして近くにあった金属の切れ端を熱し、パックリと開いた傷口に押し当て。焼き潰す。翌朝、立ち上がったジェニファーは、残りの男たちに復讐するため立ち上がる。

 本作の監督はコラリー・ファルジャ。本作はこの女性監督のデビュー作、というわけで、ここまで書けば、このファルジャさんが、明らかにレイプ・リベンジジャンルの映画に新味を出そうと振りかけるスパイスが何か察しが付くはず。この映画の場合、それは明らかにフェミニズム

 この後、砂漠に立ち尽くす、そのジェニファーの雄姿はまるでアマゾネスの女戦士。つまりはフェミニズムのヒロインというわけで、まるで、木の幹が突きささっていたのがウソのように、いつのまにか傷口も癒えて、まるで女版の不死身のランボーのように男たちに復讐していく。

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 しかし、誰が見てもそのフェミニズムは見ていて鼻に着く。見ているうちにドン引きしていき最後には、仁王立ちのジェニファーを見て、あきれ果てては嘆息するという次第、あまりにもマンガチックにジェニファーがマッドマックスのように強くなるのは空想科学の域にも達している。

 レイプ・リベンジジャンルものに、マンハンティング映画のテイストをミックスさせて、という狙いは決して悪くはない。現に、本作を手に取ったのもその惹句につられてのことだった。しかし、フェミニストの顔色を窺い過ぎたご都合主義はいただけない。このコラリー・ファルジャさん、IMDBの写真など見ると、いかにも理知的な美人の監督さん。というわけで、犯されて現実を知った本作のジェニファーのように、現実と向き合って、もうちょっとましな作品にして欲しかった。しかし、サブジャンルのミックスに弱いのが映画フリークの性ともいうわけで、こんな爆弾を踏んでしまうのも良くある話、何事も現実はキビしいものですね~