ガード下の洋ピンのポスターの欲情が蘇る!あの洋ピンの女王サンドラ・ジュリアンが乱舞する大奥江戸絵巻!東映大奥ピンク路線のあだ花は、いやらしくも意外とイケル怪作だった!(評価 60点)
好奇心と性欲満々のいたいけな映画小僧だった負け犬の瞼に当時、焼き付いていたのが、ガード下に張られ、雨風で散り散りになった総天然色の洋ピン、つまりは洋モノのポルノ映画のポスターたちだった。上気したピンク色の艶やかな女優の肌に、けばけばしくもデカデカと「色情~」、「変態~」、「~淫婦」などの実にいやらしいタイトルが踊り狂う悩ましきポスターたち。そして、その中に、ひときわ、青少年の脳みそのヒダに刷り込まれるようなエロい名前があった。その名前こそサンドラ・ジュリアン。
時は1972年。ピンク路線を開拓しようとした東映が、その洋ピンのクィーン、サンドラ・ジュリアンを大抜擢し、大奥で乱舞する和風エロスと洋ピンのエロスを和洋混合した奇天烈な珍作だ。
そもそも大奥の江戸のエロものに、サンドラ・ジュリアンというレシピが、どう交わるの?と怪訝に思う方々も多いことでしょう。ところが、これが、意外や意外、サンドラが一応、ストーリーにもちゃんと絡み、またまた男共とも積極的に絡み、惜しげもなくその裸体をふんだんに晒してくれるB級大奥エロもの映画になっていた。
時の将軍、そして精力絶倫として知られた徳川家斉の34番目の娘、清姫(杉本美樹)の嫁ぎ先が、九州は唐島藩の小倉忠輝に決まる。総勢千名もの家臣を引き連れての嫁入りと祝言を経ての、初夜の本番となるが、この忠輝は、30過ぎても独身で性には、奥手、というわけで、初夜の姦通が上手くいかない。そこで家来たちが考えだしたのが、淫らでエロい女たちを集めて殿に性教育することだった。かくして集められたのがスタイル抜群の黒人女性をはじめとするエロエロ教育のエリート部隊。そして、その秘密兵器こそが、西洋からやって来たサンドラだった。
要は本作の基本のテイストは艶笑もの。しかしながらも、ちゃんとヒロインの清姫演ずる杉本美樹がバンバンと脱いでくれ、そして、意外なことに目玉のサンドラが顔見世程度とは違い、これまたバンバンと脱ぎまくって楽しませてくれる作品なのだ。
サンドラの手練手管にすっかり篭絡してしまった忠輝は、清姫をすっぽかし、サンドラにのめりこみ、かつての奥手の忠輝は何処へやら、逆にサンドラと黒人女性をレズらせ3Pにまでおよぶ始末。不満たらたらなのは清姫の方、というわけで城内は、一気に険悪な空気に。
プレッシャーをかけられ、怒り心頭に達した忠輝が、やけくそになって出したお触れが、藩内での一切の男女の営みを禁ずる、「セックス禁止令」というトンデモな布告だった。
というわけで、タイトル通り、セックス禁止の勧告を受けた庶民も、不服ながらも従うのだが、一方、収まらないのは城内の清姫のシンパたちというわけで、よってたかってサンドラをイジメ倒しては、再び殿の気持ちを清姫に向かわせようと、女の性の喜びを清姫に指南しようとする。
ストーリーは、かくも、はちゃめちゃながらも、まずは、冒頭の、東映時代劇で培った資産を存分に生かしたセットや、はるばる九州の地にまで嫁ぐ、千名に及ぶ壮大な家臣の行列のモブシーンなどの、東映の並々ならぬムダな力の入れ具合に驚く。
そして、何といっても洋ピン丸出しのサンドラちゃんの乱れっぷりに加え、女中たちのサンドラちゃんのイジメからラストのサンドラちゃんの十字架縛り、逆さ吊るしなどの江戸女体拷問テイストにまで、アラカルト風にしっかり目配せしたテイストも楽しい。
「トラック野郎」シリーズでも有名な鈴木則文が、要所要所にサンドラの見せ場を適度に配した本作。幼少の悶々としたこの負け犬の性への積年のうっぷんを、それなりに晴らしてくれる作品だった。スレンダーながらも、しっかりエロいサンドラちゃんのそのボディ、今や、すっかりシニアになったこの負け犬の老眼の瞼にも、しっかりと鮮明に焼き付いてくれたのでした(笑)