負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。また、日々のトピックや時事問題に関する雑感を、生き物たちが繰り広げる動物コミックのスタイルでご紹介!どうぞお楽しみください

負け犬のオールスターの金太郎飴「史上最大の作戦」

第二次大戦の勝利の美酒に酔い謳歌する超大作。とにかくその物量に圧倒される3時間。更には史上最大の編集ミス?にも、ビックリした!

(評価 70点)

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次から次へと繰り出されるスターたちが圧巻そのもの。これは、まるで何処を切ってもスターの顔が現れてくる金太郎飴だ。

 今の今まで、未見だった本作を、この年になってようやく見たのです。それというのも本作が、「トラトラトラ!」での黒澤明の監督解任劇の詳細をつぶさに記したノン・フィクションの傑作「黒澤明vsハリウッド」の中で、たびたび言及されていたことで興味が湧いたからに他ならない。

 そもそも「トラトラトラ!」が作られたのも、ハリウッドのタイクーン、ダリル・F・ザナックが大ヒットした「史上最大の作戦」の柳の下のドジョウを当て込んだからだった。かくして、おそらく子供の頃に断片的にしか見た記憶がない本作を、本編通して初見することになったわけだが、やはり驚くのがそのスターの数。

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 ジョン・ウェインヘンリー・フォンダは別格として、主演クラスのスターたちが入れ代わり立ち代わり画面に登場する。映画の内容はといえば、今さら言うまでもないが、歴史的なイベントともいえる米英仏の連合軍によるノルマンディー上陸作戦の発動からミッションの完遂までの十数時間を、時系列に描く戦争スペクタクルだ。

 これをハリウッドの大プロデューサーを象徴するような存在でもあったダリル・F・ザナックが、もてるコネクションや財力の限りを尽くして一大叙事詩に結実させた。「黒澤明vsハリウッド」でも言及されていたが、映画化を決意した頃のダリル・F・ザナックはプライベートで破綻し、失意のドン底にあったらしい。

 その時に見舞に訪れたのが「史上最大の作戦」でも製作補佐も務めているエルモ・ウィリアムズで、この時、エルモが携えていた歴史書が本作の原作となった。しかし、この「史上最大の作戦」の大成功を受けて次に製作に挑んだ「トラトラトラ!」で、黒澤明を自ら監督に選任したことから、エルモは、とんでもない苦汁を味わう事になるのだ。

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 とにかくダリル・F・ザナックが、こだわったのが言葉の問題。米・英・仏・独とマルチなアングルで描かれるどのパーツにおいても出演者はちゃんと母国語を話し、上映時には英語の字幕スーパーが表示されたらしい。実は、全編英語の吹き替え版に当初はなるはずだった。しかし、米国人が字幕嫌いなのを知りながら、あえてダリルは母国語にこだわった。ところが、これが映画の迫真性につながってボックス・オフィスにも功を奏した。

 本作は、シーン毎に、ミッションの経過時間が画面に表示されるクールな映画だが、徹底的に多角的にマルチアングルで描くことで3時間、逆に退屈するヒマはない。それどころかその物量とスケールに、今見てもただひたすら唖然としてエンディングを迎えてしまう。

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 実は、この同年、戦争ヒューマン・ドラマとして今も伝説的な人気を誇るあの「コンバット」の放送が本国で始まっている。「コンバット」の事実上の第一話となるパイロット版の舞台が他でもないこのDデイのオーバーロード作戦の前夜の出来事だった。

 他にも、パラシュート降下した歩兵が教会の鐘楼に引っ掛かってしまうハプニングなど、「史上最大の作戦」の中で描かれたエピソードが、「コンバット」の中のエピソードに多数流用されている。

 ところで、本作のDVDを見て、のっけにビックリしたことがある。映画の冒頭、ノルマンディーの海岸で将校たちが、海を背景に、海岸防護の首尾について話している。そのシーンは背後のスクリーンに海が投影されたスクリーン・プロセスによる合成なのだが、途中、話していたはずの将校がいきなり画面からかき消えて、海だけが映った画面に、その声だけが聞こえる。そして1,2秒後、まるでハリー・ポッターの魔法のように再びその将校が画面に現れ喋り出す。いやはやこんな編集ミス?は初めて見た。まさか上映版が、これだったとは到底、思えない。DVD制作時のみの都合だろうか。

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 そういえば所有している、東宝が最初にリリースした「七人の侍」のDVDにも似たようなミスがある。勘兵衛が農民たちに「このメシ無駄にはせんぞ」と言って、茶碗に盛られた白米を突き出す。その1秒足らずのカットが二度出て来るのだ。

 カットが欠落しているなら、怒るけど、余計に有るなら得した、と思うのはこの負け犬だけでしょうかね~