負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬と猿は犬猿の仲、果たしてコングはメイン・イベンターとなり得るか「キング・コング髑髏島の巨神」

ゴジラVSコングのゴングが迫る中、本作で務めた前座の役割をコングはひとまず十分に果たしてくれたといってもいいのではないでしょうか

(評価 70点)

f:id:dogbarking:20210206085814j:plain

キング・コングの原体験はTV放送で見たストップモーションのコングだった。ストップモーション独特の素朴な動き、手作り感覚のキッチュな面白さが深く記憶に刷り込まれ、それが現在のサブカルジャンル好きの下地になったといっても過言ではない。

 その後、日米合作によるアニメ版のコングにも夢中になったが、何といっても特筆すべきは70年代に鳴り物入りで公開された大プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティス製作による「キング・コング」。実物大の機械仕掛けのコングを前面に大宣伝されたが、ロクに動きもせずに失笑を買った。

しかし、映画自体のスケールは大作そのもの、お正月映画としては申し分ないものにはなっていた。

 だが、それから半世紀近くたって、再び表舞台に引っ張り出されることになるとは、この巨大な猿のコングも予想していなかったのではないでしょうか。

 そのきっかけとなったのはいわずもがな、レジェンダリーのあの「GODZILLA」が思わぬ大ヒットとなったこと。そのせいですっかり調子づいたレジエンダリーが打ち出したモンスターユニバース路線によって生み出された本作。今となっては殆ど前座扱いみたいな作品なのが少し可哀そうなほど、昔見た懐かしい怪獣映画の雰囲気を満載しつつ、独自のテイストを盛り込んだ快作だった。 

f:id:dogbarking:20210206085847j:plain

 中でも、コングが本編で最初に暴れまくるヘリとのバトルを始めベトナム仕様のソルジャーたちがクラシックな怪獣たちと相まみえるというイメージは新鮮だった。 

f:id:dogbarking:20210206085910j:plain

 特筆すべきは、随所にうかがえる監督のセンス。全編で印象的なのが、セブンティーズ主体の音楽のチョイスだが、中でもコングを巨神と崇める島民たちと出会い一緒に行動するようになった従軍カメラマンのメイソンが、島民たちのスナップショットを撮るというちょっとしたアクセントシーンなどが絶妙な効果を上げているのだ。またイントロの第二次大戦のエピソードでも初登場するハンクが、エンディングでやっと果たした念願のホームカミングを、ホーム・ムービ風に描いたシーンも実にチャーミング。

f:id:dogbarking:20210206090020j:plain

 かくして本作、怪獣島に舞台を限定してムダをトリミングすることで面白さが倍増し、とりもなおさず、にぎにぎしくも楽しい怪獣たちが次々登場する楽しさあり、サミュエル・ジャクソン扮するパッカードとの確執あり、お目当てのコングの派手なバトル有りと最後までバランス良く楽しませてくれる。f:id:dogbarking:20210206085945j:plain

 エンドクレジット後のエピローグにはレジェンダリーが本気でブチ上げるつもりだった「キングオブモンスターズ」の予告までちゃんとあるが、その肝心の「キングオブモンスターズ」は見事に興行的に惨敗した。その後のコロナパンデミックもあって、公開すら危ぶまれたメイン・イベントたる「ゴジラVSコング」のゴングがいよいよ近づいている。

f:id:dogbarking:20210206090047j:plain

コロナ禍の中、既に満身創痍のようなコングが見事に立ち上がってメイン・イベンターとしてモンスターユニバースの花道を飾ることが出来得るか実に楽しみなのですよね~