負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

負け犬たちの吸血酒場「フロム・ダスク・ティル・ドーン」

ヴァンパイアたちが夜な夜な集う吸血酒場。そこにとんでもない悪党がやって来ちゃったら、そりゃもう大騒ぎにもなるよね

(評価 76点)

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タランティーノといえば、巨匠になった今でも初期のグラインドハウス的なB級ムービー臭が魅力の人。そんなタランティーノが「パルプフィクション」で最も乗りに乗っていた時期に脚本を手掛け、悪党の一人にも扮した快作。

 当時、タランティーノに心酔していた自分は、公開前から本作のシナリオ本を買っては読んでいたものです。まあ、まるでパルプなアメコミを地で行くようなシナリオだったのを今も覚えている。何というか実にアクティブ、改めてタランティーノの書くという能力のポテンシャルの高さに驚いたものです。同時にやはりB級的な資質がもっとも似合う人だな、ということも

 本作のキモは前半の悪党ムービーから後半のヴァンパイアホラーに一気に転調するところなのだけど、そういうなりふり構わぬカップリングって思えばB級ムービーにしか出来ないやんちゃぶりなんですよね。

 たとえばカンフー映画と西部劇をカップリングさせた「荒野のドラゴン」とか、そのカンフーとモロヴァンパイアをカップリングさせた「ドラゴンvs七人の吸血鬼」(昔。土曜映画劇場でやってたな~)とか。西部劇とSFのカップリング「カウボーイvsエイリアン」とか(一応、あれはA級なんですかね?まあ感覚はB級ですよね)。とにかく面白けりゃ、何でもいいやでエイヤでカップルにしちやう。まあ、映画そのものを二本立て、三本立てにするグラインドハウス・スピリッツというやつなのでしょう。

 思えば本作自体、タランティーノ脚本(原案ロバート・カーツマン)に監督がロバート・ロドリゲスという夢のグラインドハウスコンビでもあった。

 冒頭のイカすコンビニ強盗シーンから、前半はハーヴェイ・カイテルの神父を巻き込んでのメキシコ国境目指してのクライム・サスペンス。そして後半、ホラー・アクションに豹変するダブル・フォーマットの本作はもうオールカラーのマンガそのもの(本国ではアメコミ化もされている)。B級ながらも一粒で二度おいしい贅沢な気分にも浸れます。

 願わくば、引退すらほのめかしているタラちゃんには、もう一度「キル・ビル」の再来のようなやんちゃなバカ映画を撮ってほしい。日本の侍と鬼ならぬヴァンパイアが対決する「サムライvsヴァンパイア」なんてどうでしょうね?タラちゃん