負け犬的映画偏愛録

崖っぷちの負け犬が、負け犬的な目線で偏愛する映画のことを好き放題のたまう映画録。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

負け犬のスモールタウンは江戸川乱歩の猟奇の世界「ブルーベルベット」

アングラからビッグへの成功の青写真は、一度見たら忘れられない、猟奇と耽美、さらには世にも奇妙なオズの魔法使いの世界だった! (評価 82点) 人間の耳の穴の奥深く、そこは誰も見たことのない世界!ただのアングラな映画作家のサクセスの法則は、童話…

負け犬の絶賛と罵倒の悲しきバラード「刑事ジョン・ブック目撃者」

都会の刑事が、ある日突然、文明を拒否し、自給自足の生活を送るアーミッシュのコミュニティで暮らしたら?そんなアイデアと、マイルドな文明批判とを見事にエンターティメントに結実させた傑作映画 (評価 80点) オーストラリアの俊英ピーター・ウィアー…

負け犬の究極の恐るべき決断「未知への飛行/フェイル・セイフ」

手に汗握る釘付け必至の究極のハイテンション!その果てに下された決断に呆然とする112分の超絶サスペンス (評価 87点) これぞシドニー・ルメットの真骨頂!密室で繰り広げられる米ソ首脳会談の圧倒的な緊張感、核ミサイルをめぐる息を呑むサスペンス…

負け犬の映像マジックの世紀末的エンサイクロペディア「鳥」

ヒッチコックの映像マジックが冴えわたる、動物パニック映画の原典にして金字塔! (評価 89点) 平和そのものの港町ボデガ・ベイを鳥の大群が襲う!これぞまさに映像マジックの百科事典。今なお新しい、発見に満ちた超傑作。 映画史のことは差し置いて、…

負け犬の本当は怖いグリム童話「狩人の夜」

ラブ・アンド・ヘイトのサイコパス。忘れられたメルヘン・ホラーの傑作 (評価 76点) 汝の隣人を愛すべきはずの牧師が幼い兄弟を殺しに来る!二人の子供たちに明日はあるのか! その存在だけは伝え聞きつつも、公開もされず、ソフトでもついぞお目にかか…

負け犬たちの魂の雄叫び「アモーレス・ペロス」

メキシコから突如、飛来したミサイルが、目もくらむ閃光とともに爆発する、負け犬たちが織り成す壮絶なる人間ドラマに息を呑んだ! (評価 82点) メキシコという予期せぬ国から現れた俊英の出現に驚愕させられた、オムニバス人間ドラマの傑作。 アレハン…

負け犬も悩むジェネレーション・ギャップ「メカニック」

70年代アクションの名作として名高い本作。しかし、それは親父衆がジェネレーション・ギャップに悩むだけの凡作だった (評価 50点) 後にジェイソン・ステイサムでリメイクすらも作られた本作は、予想外の凡作だった。 かのIMDB上で、70年代を代…

負け犬がパンドラの箱を開ける時「キッスで殺せ」

これは誰もが覗きたくなる不思議な箱。最後に明かされる箱の中身にポカンとし、キツネにつままれること請け合いのカルト・ノワールの珍作 (評価 65点) 漢映画の巨匠ロバート・アルドリッチが、既成のスタイルによる束縛の憂さを晴らすかのように作り上げ…

負け犬の鼻の穴にナイフ「チャイナタウン」

「水の中のナイフ」で世界を震撼させた神童ロマン・ポランスキーが、名匠にまでのぼりつめるマイルストーンともなったノワールの傑作 (評価 84点) アメリカン・テイストそのもののノワールスリラーに、ヨーロッパの艶やかなテイストを盛り込み、本作のテ…

負け犬のシベリア超特急の終着駅「オリエント急行殺人事件」

オールスター総出演というキャッチフレーズが本作ほど、似つかわしい映画は他にない。胸躍る楽しさと至福の128分に酔いしれる (評価 88点) その名は知れ渡っているのに、何故か今まで見ていなかった映画、そんな映画が大傑作という至上の喜びに勝るも…

負け犬は衝突で発情する!ようこそ変態たちの世界へ「クラッシュ」

世にもおぞましきフェティシズムの世界。変態たちが爆走し衝突するフェティッシュたちのエロとグロの狂宴 (評価 80点) 変態の欲望に終わりはない。究極のエクスタシーを求め、何処までも突っ走る、エンドレスなるエロの世界。 いずれ劣らぬクセ者揃いの…

負け犬も誰かと映画を見てみたい「サスペリア」

「決してひとりでは見ないでください!」のコピーも躍る、鮮やかな原色の色彩と、おどろおどろしい音楽、こけおどし全開のイタリアン・バロックホラーの決定版! (評価 72点) 心的恐怖も内容も何もない、しかし、とことんお化け屋敷に徹すれば、それはも…

負け犬とエロい熟女の殺戮劇場「丑三つの村」

草むらに捨てられたエロ本の猥褻な写真にたぎらせた野卑でゲスな欲望が、猟銃から放たれた銃弾とともに全方位に暴発する、世にも危険なエログロ・バイオレンスの問題作。(評価 68点) にっぽんの熟女イメージのシンボル、五月みどりがエロ度全開に見せま…

負け犬のアトラクションは命がけ「ウェストワールド」

若き俊英マイケル・クライトンが、劇場映画初監督作で、その才気煥発ぶりのみならず、あのウェスタンの名作「荒野の七人」のクリスが、そのままのスタイルで登場する遊び心まで存分に発揮したテクノ・スリラーの秀作 (評価 74点) 楽しいはずのアトラクシ…

負け犬のナチのエロスとセックス親衛隊「愛の嵐」

文芸と耽美の、倒錯のエロスとの見事な融合。夜明けの鉄橋を歩く、ロリコン・ファッションと軍服姿のカップルのシルエットはこの上もなく美しかった。 (評価 78点) ナチの軍服とSMボンデージが倒錯する妖しき世界、その世界に溺れるカップルの末路は哀…

負け犬の姿なき温故知新「透明人間」

まさに温故知新ではないけれど、古き良きクラシックなマテリアルを換骨奪胎してホラーにしたらどうなるか?その解答は、何とも物足りない残念作でした (評価 58点) フランケンシュタインにドラキュラ、ミイラ男に半魚人。異形のキャラクター、ダーク・ユ…

負け犬は肉を切らせて骨を断つ「サムライ」

孤狼の殺し屋の不動のイメージの先駆にして、メルビル・ノワールの金字塔。 (評価 78点) サムライの心得である、死に場所に向かって俯きながら歩くドロンがこの上もなくカッコいい。孤狼の美学のカタログのような名作。 孤独、寡黙、ストイック。ファー…

負け犬の暴力のルネッサンス「マッドマックス」

粗い粒子の映像が醸し出す得体の知れない恐怖感が、どこまでも続くオーストラリアのザラついたアスファルトの路面を疾走する。近未来バイオレンスの頂点にして不滅の傑作(評価 85点) 映像の幻影がもたらす薄汚れたリアルなバイオレンスが炸裂する。映像…

負け犬の脈絡なきこの人生「フェリーニのローマ」

次々に繰り出される圧倒的な記憶の洪水!まさしく人生とは、走馬灯ならぬ、炎を噴き上げ疾走する火車 (評価 80点) デフォルメされた記憶のイメージが、怒涛のように繰り出され、ひたすらに圧倒される。脈絡などあろうがなかろうが構わない。何故ならそれ…

負け犬の笑いと狂気は紙一重「キング・オブ・コメディ」

人は笑わずにはいられない、自分の人生の悲惨さを忘れるために。笑いとは、そもそもかくもアンビバレンツなものなのだ (評価 80点) 本作が公開されたのは、バブル真っ只中の1984年。当時、その世相を反映し、日本中のメディア、すべてが浮かれていた…

負け犬は夜行性「ナイトクローラー」

この男はワクチンなき現代の病理!コンテンツのみを偏重して突っ走る狂気な社会そのものなのだ (評価 82点) この男が目指すのは、スクープの内容の過激さのヴォルテージ。その過激さのアップだけを目指し、ひたすらに突っ走るこの男の行動は、どこか我々…

負け犬は衝突すれば分かり合えるのだろうか「クラッシュ」

人生は人と人とが絶え間なくスクランブルする交差点。だから、車のように衝突することもある。しかし、事故で負った傷も少しの思いやりと優しさがあれば癒されることをこの映画は教えてくれる (評価 88点) 総勢十数人に及ぶ、人種が違う人々のクラッシュ…

新木枯し紋次郎 第二話「年に一度の手向草」 初回放送日1977年10月12日

日活ヌーベルバーグの新たなる息吹 <姉のお光の墓参りにおとずれた紋次郎。そこで見たのは。その墓が何者かに荒らされ、そこに埋められていた身も知らぬ娘の死体だった。かつて同じ村の住人だった梅吉は、それが村の名主の娘のおせんだという。紋次郎は、真…